地中送電路 防水板
ゲリラ豪雨による地下浸水と、油圧押上式のメンテナンスコスト——ふたつの課題を、ジップチェーンのスライド式に置き換えて解いた試作機。止水性能試験をクリアし、現在量産見積提出中。
Challenge / 課題
地中送電路のうち、トンネル工法で構築された設備には、地上から孔内に空気を送るための換気口(グレーチング)が設置されています。近年のゲリラ豪雨によって、この換気口から地下に水が侵入し、排水に多額の費用を要する事態が発生していました。
現状設置されているのは、下からゴム板を押し付けるタイプの浸水対策装置。ゴミが詰まって機能しない事例が発生し、さらに油圧式であるためメンテナンスコストも高い。排水費用とメンテコストの二重負担が、顧客の抱える課題でした。
「改良策、もしくは新たな発想による商品開発」——それが最初のご依頼です。
Our Proposal / 提案
従来の下からの押上式は、構造上、換気口の直下にゴム板の退避スペースが必要でした。豪雨時にゴミが入ると機能不全になるのも、この構造ゆえです。ここを、ジップチェーンによるスライド式に置き換えることを提案しました。
ジップチェーン方式は、格納時は扁平のリンクで省スペースに収まり、展開時だけ剛直な柱状を構成します。これにより、換気口まわりのスペース制約を解消しつつ、油圧不要のためメンテナンスコストも大幅に低減。大掛かりな保守作業は不要になりました。
装置設計・電気/制御設計・板金・溶接・機械加工・組立・電装——全工程を社内で対応した試作機は、止水性能試験を満足いく結果でクリア。現在、量産見積を提出している段階です。
Process / 工程
既存のゴム板押上式が、どの状況で機能不全を起こすのかを現場ヒアリング+構造分析から整理。油圧メンテナンスの実作業内容とコスト構造も並行してヒアリングし、置き換え機構が満たすべき要件を明文化。
押上方式からスライド展開方式へのシフト。格納スペースの最小化と、展開時の剛性・止水面の密着を同時に成立させる機構を3D CADで詰める。駆動モーター・ガイドレール・止水パッキンのトライ&エラー。
筐体・ガイド部品・ジップチェーン部・止水フレームを社内の全工程で加工。レーザー切断・曲げ・TIG溶接・機械加工の連動で、工程間の待ちと仕様ズレを最小化。
展開・格納の駆動制御、位置センサ、非常時のフェイルセーフまで含めた制御設計。配線・制御盤・筐体への組付けを社内で実施。
試作機を組み上げ、止水性能試験を実施。満足いく結果となり、従来の押上式に対する優位性を示すデータが得られた。
試作機の検証データをもとに、量産向けの見積を提出中。BOM・部品点数の最適化、組立工程の標準化、保守部品の整理も並行して進めている。
Specifications / 仕様
| 種別 | 防水装置 一式(地中送電路換気口向け) |
|---|---|
| 業界 | 電気事業 |
| 機構 | ジップチェーンによるスライド展開式 |
| 主工程 | 装置設計・電気/制御設計・板金・溶接・機械加工・組立・電装 |
| 試験 | 止水性能試験 クリア(試作機) |
| ステータス | 量産見積 提出中 |
| 寸法 | 要確認 |
Results
Client Voice
押上式でずっと悩んでいた課題が、発想ごと変わった。試作機で性能試験をクリアしたときは、ようやく正面から解ける問題だと確信できた。量産見積の段階に入り、保守計画も含めて相談できる相手になっている。
設計から試作・量産準備まで、一気通貫で対応可能です。まずは現状の課題をお聞かせください。